8/22(木)各種目2回戦
種目2回戦、ワールドツアー750という上位大会の8強入りをかけた試合らしく、各試合でハイレベルなプレーが多く繰り広げられた。国際大会ならではの見ごたえある試合模様(抜粋)を紹介する。
[女子シングルス]
ヨネックスオープンジャパン2012でのスーパーシリーズ(現ワールドツアー)初優勝から12年、女子シングルスのトップランカーであり、世界ランキング1位にも長期間君臨していたタイ・ツーイン(チャイニーズ・タイペイ)は、今年いっぱいでの引退を表明していることから、今回が最後のジャパンオープンとなる。2回戦ではウクライナのポリーナ・ブブロワを相手に、昨年末から苦しんでいた膝の故障を感じさせず、持ち味である体幹の強さを活かした無駄のないプレーを披露。特にリアコートへのクリアの押し込みでは度々相手の体勢を崩し、そこから早いタッチでコースにショットを打ち分け、鮮やかに得点を重ねた。8本、10本と隙のない試合運びで完勝し、準々決勝進出を決めた。
試合後には「日本は食べ物もおいしいし、好きな国なので今年も来られて嬉しい。故障箇所についてもよい状況で臨めている。引退後どうしていくかはまだよく考えられないけれど、今は1つ1つのトーナメントを頑張って、年末のワールドツアーファイナルズまで戦いたい」と明るく話してくれた。
[男子ダブルス]
日本勢で唯一男子ダブルス2回戦に進んだ三橋健也/岡村洋輝(BIPROGY)が、チャイニーズ・タイペイのチウ・シャンチェ/ワン・チーリンを接戦の末に撃破して準々決勝進出を決めた。オリンピック2大会連続金メダルのワン・チーリンを擁する新たな長身ペアに対し、第1ゲームこそ強打に圧倒されて7-21で落としたものの、丁寧に球を散らすラリーで対抗し第2ゲームを23-21で取り返した。ファイナルゲームも一進一退の大接戦となるが、ショットの高さ、左右の揺さぶりなど戦術の工夫を徹底した三橋/岡村が24-22として、歓喜と充実の勝利をつかみ取った。
試合後のインタビューで岡村は「1ゲーム目は上げないようにしていこうと話していたが、二人とも足が固まってしまい、ゆっくり上げたら相手のショットがものすごく速かった。それで引いてしまい、何もできない点差になってしまった。2ゲーム目で足を動かして開き直ったのがうまくいった。前も速いペアだったので、パワープレーになると負けてしまう。強い球を打たせないぐらいの低い球を使って、横跳びをさせて避けていくというのをひたすら繰り返して組み立てた。」と充実の試合内容を語ってくれた。パートナーの三橋も「気持ちで行きすぎると点は来るが、相手の得点の時に自分自身の気持ちがダウンしてしまうので、そこをうまくダウンしないように、バドミントンのクオリティを保てるように心がけたのが今日はよかったと思う。」と、激戦の勝因を振り返った。
[女子ダブルス]
パリ2024で銅メダルを獲得した松山奈未/志田千陽(再春館製薬所)が、凱旋試合となる今大会の初戦に臨んだ、タイのオルニチャ・ジョンサタポーンパーン/スキッタ・スワチャイに対して、軽快なタッチでテンポよく打ち込んでいく。第1ゲームは中盤からリズムを変えて抜け出し21-13、第2ゲームは序盤から見事なコンビネーションで正確にラリーを制し21-5とし、詰めかけた大勢のファンの声援に応える勝利をあげた。
試合後、志田は「シャトルが思ったより重たく、持ち味の低空ラリーや攻撃が効かないと最初に感じたので、その形にこだわらず大きい展開に持って行けたのがよかった。オリンピックで自分たちのことを知ってくれた人が多いと会場で感じるので、そういう方のために明日も勝って試合している姿をたくさんみてもらえたらいいなと思います。」と話せば、松山も「あまり練習が積めず不安が大きかったが、一歩で届くところだけでも自分がしっかり決め球を作ろうとしたところが今日はよかった。明日は挑戦者の気持ちで自分たちの今できることを出して悔いなく終わりたい。」と話し、お互い冷静に戦況を見極めて戦えた様子が伺えた。引き続きシダマツ旋風で好試合を見せてくれそうだ。
3年前の東京2020以降、女子ダブルスで無類の強さを誇り、パリ2024で金メダルをつかみ取ったのが中国のチェン・チンチェン/ジャ・イーファン。オリンピック終わりの一区切りでチェン・チンチェンが休養をとる中、ジャ・イーファンは「もともと日本に来ると決めていたので、コンディションも問題ない」というタフネスぶりで、リ・ウェンメイと組んで当面のトーナメントを回るという。そんな中国ペアが、2回戦ではチャイニーズ・タイペイペアを相手に第1・第2ゲームを21-18、14-21と分け合い、ファイナルゲーム勝負となる。「初めて組んで、練習をしたのもここ1週間」という真新しい組合せもあってか、間を抜かれた際のカバーで一歩が出遅れる場面も多々見られたが、そんな弱点をものともしない完成された技術と170㎝超えの2人から繰り出される強打で、勝負所のポイントを奪取する。ゲーム後半に7連続ポイントで抜け出し、そのまま21-16として勝利を掴んだ。
日本人選手で準々決勝進出を決めたのは以下のとおり。
[男子シングルス] 3人
・奈良岡 功大(NTT東日本)
・西本 拳太(ジェイテクト)
・田中 湧士(NTT東日本)
[女子シングルス] 3人
・山口 茜(再春館製薬所)
・大堀 彩(トナミ運輸)
・仁平 菜月(ヨネックス)
[男子ダブルス] 1組
・三橋 健也/岡村 洋輝(BIPROGY)
[女子ダブルス] 2組
・松山 奈未/志田 千陽(再春館製薬所)
・岩永 鈴/中西 貴映(BIPROGY)
[混合ダブルス] 1組
・渡辺 勇大/東野 有紗(BIPROGY)
また、出場した日本人選手の試合を終えてのコメントを紹介する(抜粋)
[男子シングルス]
常山 幹太(トナミ運輸)
(日本代表としての最後の試合と決めていたので)長い旅が終わったという感じ。ファイナルゲーム先行されたところから逆転して、折り返した後の出だしをしっかり取れてリードを奪ったことで気持ちの余裕はできたが、18点くらいから最後に勝ちを意識してしまった。相手のスマッシュに対してプレッシャーを感じてしまい、楽しむということを忘れてしまった。悔いはないし、すっきり終われた。代表活動からは退くが、半分指導に回りながら練習は続けて、全日本総合などは出場しつつ、来年の滋賀国スポまでは競技を続けるつもり。
[女子シングルス]
水津 愛美(ACT SAIKYO)
相手はフォームとかに癖のある選手という印象があったので、11点までに対応しようと思っていたが、思った以上に序盤から相手の球とかに対応できてラリーもできていたので、1ゲーム目追い上げたところで後半取り切れていたらわからなかったかなと思う。第2ゲームのエンドではシャトルが飛ばず、相手の強い球に押されてしまって動くだけになってしまった。相手がスピードを上げてくるのはわかっていたが、途中からついていけなくなった。フィジカルの差を感じた。そのフィジカルも、この8月からチームに男子のスパーリングコーチが加入したことで強化に取り組めている。このあと大会が続いていくので、しっかり結果を残してまずは世界ランキングを上げていきたい。そして4年後のロサンゼルス五輪を目指したい。
[女子ダブルス]
岩永 鈴/中西 貴映(BIPROGY)
岩永:試合前は緊張したがコートに入ると落ち着いて試合ができ、レシーブもアタックも自分のやりたいことができた。明日は攻撃も守りも強いペアだが、引かずに向かって行けば可能性があると思っているので頑張りたい。
中西:一昨日の試合があまりよくなくて、サーブ周りやレシーブのポジションなどを自分なりに反省してコートに入ってそれが上手くいったし、応援がすごく暖かくてそれが力になり明日につながるいい試合になった。
[混合ダブルス]
緑川 大輝/齋藤 夏(NTT東日本/ACT SAIKYO)
緑川:二人で攻めの気持ちを忘れないように自分たちから攻めていこうと話していたができなかった。調子が良いときは勝てるが、悪いときは1回戦負けなので悪くてもベスト8に入れるように調子を平均的に上げていけるようにしていきたい。
齋藤:今回は二人のコンビネーション良くなかったし、レシーブ面でも我慢ができなかった。今年は出られる試合が限られているので、無駄にしないよう1試合1試合を大事に戦っていきたい。
©NipponBA2024 / PHOTO:t.KITAGAWA