試合レポート 大会4日目

8/23(金)各種目準々決勝

男子シングルス

田中湧士
田中湧士

男子シングルスの初戦、田中湧士(NTT東日本)が世界ランキング1位のシー・ユーチー(中国)と対戦した。
シー・ユーチーが「(田中選手は)他の中国選手と対戦していて、強いと聞いていたので、心の準備ができていた。1ゲームは会場の状況を見ながら試合をしていた。粘られて、いいパフォーマンスだった」と振り返ったように、「自分のプレーをするしかない」と思い切りのいいプレーで田中が抜けた出し21-10で奪い、ジャイアントキリングの期待が高まった。しかし、世界ランキング1位は伊達ではなく、「配球、高さの使い方など駆け引きで相手が上だった。また、クリア、ヘアピン、ドロップなど基礎的なショットのクオリティに差があった。プレーの内容の良し悪しではなかった。ただ自分のプレーは出せたので後悔はない。」と、第2・第3ゲームを9本、11本に抑えられた田中はシー・ユーチーに敗退した。
西本拳太(ジェイテクト)がフランスの次期エースと名高いアレックス・ラニアーと対戦した。西本が「なかなかミスしない、決まらない、相手のショットがよく、やれることをやったが、先手を取られて突破口がなかった。完敗だったと認めざるを得ない。」と振り返ったように、14本、14本で敗れたが、「彼に勝てるように強くなりたい」とさらなる進化を誓った。
奈良岡功大は3日連続のファイナルゲームとなるが、2ゲーム目からプレースタイルを変えるなどしてベスト4入りを果たした。

女子シングルス

山口茜
山口茜

仁平菜月(ヨネックス)は、今年いっぱいでの引退を表明しているタイ・ツーイン(チャイニーズ・タイペイ)と対戦。タイ・ツーインは左膝を気にしながらも、圧巻のゲームメーク、配球で食らいつきたい仁平を寄せ付けず、13本、14本で退けた。
ともにオリンピック5位入賞の山口茜(再春館製薬所)と大堀彩(トナミ運輸)は、それぞれタフな接戦を展開するも、その明暗が分かれた。山口は世界ランキング8位のハン・ユエ(中国)と対戦。第1ゲームを接戦で奪われてしまうが、自分でスピードを上げてバドミントンを楽しむことができたという山口が、会場からの声援を力に変えて第2・第3ゲームでは終盤に抜け出して制し、準決勝進出を決めた。
一方の大堀は、同級生でジュニア時代から一緒に切磋琢磨してきたというブサナン・オングブンルングパン(タイ)と対戦。どのゲームも一点を争う我慢の展開となる。我慢しきれず焦って1点を欲しがってしまったという大堀が89分に渡る接戦を落としてしまう。試合後は、「毎大会ベストを尽くして、目の前の試合に集中してその時にできることを積み重ねていきたい」と前を向いた。

女子ダブルス

松山奈美(左)/志田千陽(右)
松山奈美(左)/志田千陽(右)

パリオリンピック銅メダルの松山奈未/志田千陽(再春館製薬所)と、世界ランキングを7位まで押し上げてきた岩永鈴/中西貴映(BIPROGY)の日本人対決が行われた。沢山の観客が、名実ともにスター選手となった松山/志田を応援する中、岩永/中西が根気強くラリーを展開して長期戦の様相を呈していく。

岩永鈴(左)/中西貴映(右)
岩永鈴(左)/中西貴映(右)

松山/志田は、第1ゲームこそ延長ゲームで勝負強さを見せ25-23と制したが、「五輪後で落ちている今のフィジカルでは長期戦は厳しい」と感じていたとおり、第2ゲームでは我慢しきれずに終盤に逆転許し、19本で落としてしまう。ファイナルゲームになると出力を維持して攻守に躍動した岩永/中西がたちまちリードを奪い、終盤の相手の追い上げも振り切って18本で勝利を掴んだ。

日本人選手で準決勝進出を決めたのは以下のとおり。
[男子シングルス] 1人
・奈良岡 功大(NTT東日本)
[女子シングルス] 1人
・山口 茜(再春館製薬所)
[女子ダブルス] 1組
・岩永 鈴/中西 貴映(BIPROGY)

また、出場した日本人選手の試合を終えてのコメントを紹介する(抜粋)

[男子シングルス]

奈良岡功大
奈良岡功大

奈良岡功大
2ゲーム目途中からファイナルゲームを意識していた。相手の体力に削るプレースタイルに変えた。それが3ゲーム目に活きた。3日連続のファイナルゲームになってきつい。(明日の相手となる)チョウ・ティエンチェは、オリンピックできつい試合をした強い相手なので、頑張るしかない。

西本拳太
西本拳太

西本拳太
なかなかミスしない、決まらない、相手のショットがよく、先手を取られて突破口がなかった。完敗だったと認めざるを得ない。追われる立場というよりは面白い相手が出てきた。彼を倒すために強くなりたい。次は万全の準備をして勝ちたい。
来週からは韓国オープンに出場する。いい結果がでるようにコツコツとやっていきたい。

[女子シングルス]

山口茜
特に2ゲーム目のインターバル明け以降、自分からスピードを上げてやれて楽しむってこういうことかと思った。自分のプレーがよくなるのと比例して会場が一体感や盛り上がりを感じた。
昨日まで以上に相手のスピードが上回り、スピードについていけず自分が後手にまわっていたので、サービスまわりだけ先手をとろうという意識で自分からスピードを上げると、自分が相手をまわせる展開になった。今日は特に自分のスピードや攻撃面、レシーブやいろんなところで高いレベルでいい感覚がつかめた。明日も継続してやれるよう、もう一度お客さんと一緒に楽しめるようにできたらベストかなと思う。

大堀彩
大堀彩

大堀彩
今日できることは精一杯できた。入る段階ではいい形で体をつくることができたが試合が始まって少しずつラリーが長くなってきて、我慢比べになり、最後のサイドアウトだったりと焦って1点欲しがっていたと思うので、ラリーに持ち込めればチャンスはあったと思う。最後は単発で自分の悪いところが出た。いいところだけでなく悪いところも出た試合だった。
(対戦相手は)同級生でジュニア時代から一緒に切磋琢磨してきた。勝ちたかったが相手も強かった。今日は出し切ったと思っている。毎大会ベストを尽くして、後悔がないように1大会1大会を納得がいく形でおわれたら自然と結果がついてくると思うので、目の前の試合に集中してその時にできることを積み重ねていきたい。

[男子ダブルス]

三橋健也(左)/岡村洋輝(右)
三橋健也(左)/岡村洋輝(右)

三橋 健也/岡村 洋輝
三橋:出だしが最悪。2ゲーム目から頑張ろうとしたけど、ずっと向こうのペースだった。流れが欲しかったが、なかなか…。全日本社会人や中国のSuper1000がすぐあるので、世界トップの選手たち相手に頑張りたい。
岡村:難しい試合だった。昨日と同じで、出だしが悪かった。二人が思い描いていたプレー(岡村:スピードを上げる、三橋:大きな展開)が異なり、迷いが生じてしまった。昨日みたないいい試合と今日のような試合のムラをなくしたい。

[混合ダブルス]

渡辺勇大(右)/東野有紗(左)
渡辺勇大(右)/東野有紗(左)

渡辺勇大/東野有紗
渡辺:攻撃が強い相手なので、自分たちが攻めたかったが、攻められてしまい向こうに優位に立たれてしまった。低い球や強い球で対応しようとしたが、そこまでの技術がなかった。日本の方々の前でプレーできたのはすごくうれしかった。
歴史をたくさん作ってきたし、レールを伸ばしてきたとも思う。まだまだお互い強くなれると思っている。ここまでの経験は間違いなくすばらしいもので、次に生きてくる。競技人生が終わる時に振り返りたい。 (東野選手に対して)ありがとうしかないですね。僕らだからここまで長くやってこられたと思いますし、つらいことの方が多かったですが、一緒の喜び、一緒の優勝のためにここまで二人で支え合ってできたのは二人だからできた。
東野:前衛でドライブが強い中で、その通りやられてしまった。日曜日に残りたかったが、うまくいかなかった。今日で終わりなのが信じられない。13年間勝てない時期も一緒に乗り越えてここまでこられたので、いい景色を見させてもらった。
(渡辺選手に対して)13年間組んでいるペアいないと思いますし、ここまでやってこられたのは勇大くんのおかげだと思っていて、感謝の気持ちしかない。

©NipponBA2024 / PHOTO:t.KITAGAWA