8/24(土)5日目準決勝
男子シングルス
パリオリンピックの1回戦の再現となった奈良岡功大(NTT東日本/世界ランキング8位)対チョウ・ティエンチェ(チャイニーズ・タイペイ/世界ランキング10位)のカード。オリンピックでは、タフな試合を制したチョウ・ティエンチェに軍配が上がっており、そのリベンジを会場に詰めかけた多くの観客が注目した。第1ゲームはお互いに点を取り合う緊張感あるラリーが展開される。14-12と奈良岡リードから、スマッシュ決められ、ロブショットがアウトになるなど連続9ポイントを失い、このゲームを奪われてしまう。第2ゲームに入っても奈良岡は、流れを変えられず6連続ポイントを奪われ、追いかける苦しい展開となる。終盤、奈良岡は「やるしかないかなと思って、スピード上げてみたり、フェイントやってみたり、ネットイン狙ってみたりと色々やってみたが、難しかった。」と反撃を試みるも逆転の糸口をみつけられないまま16本で敗退した。
試合後、チョウ・ティエンチェは、「(決勝の相手の19歳、アレックス・ラニアー(フランス)は)力が強い選手。連戦で疲れているので、自分のケアをして決勝に臨みたい」と話した。 世界ランキング1位のシー・ユーチー(中国)をファイナルゲームで破ったアレックス・ラニアーは、「疲れ切っているが、今日の結果について満足している。この大会に向けて準備をしてきたが、決勝まで来れるとは思っていなかった、1つ1つの試合に集中してきた。明日に向けて準備をして、いい試合をしたい。」と語った。
女子シングルス
オリンピック5位入賞の山口茜(再春館製薬所/世界ランキング5位)とスパニダ・カテソン(タイ/世界ランキング13位)とこちらもパリオリンピック1回戦と同じ対戦となった。 第1ゲーム、山口はスピードや多彩なショットの打ち分け、スパニダは163cmで左利きからの力強いショットや女性では珍しいジャンピングスマッシュを有効打にお互いに点を取り合っていく。13-14の場面でギアを上げた山口が連続8ポイントでこのゲームを奪う。
第2ゲームも山口が試合を有利に進め、14-11としてところで、山口がこれまで見られなかった簡単なミスを2本続けるとこれまで要所でアウトになっていたスパニダのスマッシュがサイドライン際に決めるなど7連続ポイントで逆転を許してしまう。「正直いかれた気持ちになったが、一回落ち着いて、次に繋がる展開を探した方がいいかなと切り替えたら、相手が嫌がってくれたし、会場にみなさんに盛り上げてもらった」という山口が脅威の追い上げを見せる。スパニダのミスにも助けられつつも、クロスへのエースリターンやフェイントを利かせたドロップなどの連続ポイントで22-20と接戦をものにし、笑顔を見せた。
最多優勝にならぶ4度目の栄冠に王手となったが、「ここまで来たので優勝はしたいが、それよりも自分がここで、この大会のこれまで通り、どれだけ楽しめるかが、自分の課題なので、引き続きそれにフォーカスしてやりたい。」と話した。
女子ダブルス
世界ランキング7位まで上げてきた岩永鈴/中西貴映(BIPROGY)は韓国ペアのペク・ハナ/イ・ソヒ(世界ランキング2位)と対戦。岩永/中西はパリオリンピック銅メダリストの松山奈未/志田千陽(再春館製薬所)の日本人対決を制した勢いで、5戦5敗の相手から金星が欲しい一戦となった。
第1ゲーム、スピーディーな展開で攻めの形をお互いに作っては強打で決めていく。序盤は岩永/中西が素早くローテーションして、連続攻撃で決めていき、14-10とリードを奪う。「あまりいい状態でなかったが、イ・ソヒの強打に助けられた」とペク・ハナが話したように、イ・ソヒが強打で強打を押し返していく。我慢のレシーブで岩永/中西も食らいつき、延長ゲームに持ち込むも韓国ペアに20-22と押し切られてしまう。
第2ゲーム、「自分たちが120%出し続けてやっと勝負になるようになってきた。その状態を90分とかやり続けられるようになったらもっと勝負ができると思う」(中西)、「合わせてるだけでは相手に好きなように回されるので、少しはリスクを負ってでも早いタッチでいかないといけなかった」(岩永)と振り返ったように、ラリーになるもののスピード、ショットの精度など僅かな差ではあるものの、要所でのミスが出て、1ゲーム目の1点を争うシーソーゲームから一転、韓国ペアに2度の連続7ポイントなどで大量リードを許し、韓国ペアが21-12で決勝進出を果たした。 岩永/中西は、世界トップとの壁の隔たりも感じつつも、自分たちの成長を感じることができた一戦となった。またさらに成長した姿を見せてほしい。
決勝のカード(試合順)
男子ダブルス ゴー・ジーフェイ/ヌー・イズディン(マレーシア)-カン・ミンヒュク/ソ・スンジェ
男子シングルス チョウ・ティエンチェ(チャイニーズ・タイペイ)-アレックス・ラニアー(フランス)
混合ダブルス タン・チュンマン/ツェ・インスェット(ホンコン・チャイナ)-ジャン・ジェンバン/ウェイ・ヤーシン(中国)
女子ダブルス ペク・ハナ/イ・ソヒ(韓国)-リウ・シェンシュー/タンニン(中国)
女子シングルス 山口茜(再春館製薬所)-ブサナン・オングブンルングパン(タイ)
また、出場した日本人選手の試合を終えてのコメントを紹介する(抜粋)
[男子シングルス]
奈良岡功大
他の長身選手と比べても、別のやりにくさがあった。自分のスマッシュに対して転んでレシーブしていても、次はジャンプスマッシュを撃たれるので、何をして良いのかわからなかった。
連続得点取られている時は、止まらなかった。相手にはめられてるなと思っていた。
こういう選手に勝てるようになるためにも、身体作りや今のような綺麗にゆっくりやるプレースタイル以外もできるように練習が必要だと思う。
[女子シングルス]
山口茜
今は勝ててホッとしている部分と、ストレートで終われて一番安心している。2ゲーム目は正直いかれたかなという気持ちもあったので、一回落ち着いて、次に繋がる展開を探した方がいいかなと思いながらプレーしていた。終盤は相手が嫌そうな雰囲気だったので、そこがチャンスだった。
ここまで来たのでもちろん優勝はしたいが、この大会、自分がどれだけここで楽しめるかを課題としていて、自分も楽しめると、見てる人も楽しませることがうまくやれていると思うので、引き続きそれにフォーカスしてやりたい。
[女子ダブルス]
岩永鈴/中西貴映
中西:自分たちが120%出し続けてやっと勝負になるようになってきた。今日の1ゲーム目はちゃんと勝負ができたと思う。この120%を今後は100%、80%にしていって、その状態を90分とかやり続けられるようになったらもっと勝負ができると思う。
毎年1回戦で負けて、ジャパンオープンはお客さん少ないなって思っていたが、ここまで勝つことができて、たくさんお客さんも見に来てくれてすごく嬉しかったし、 声を出して応援してくれる方々もたくさんいて、楽しく試合ができたので、また来年もみんな来てくれると思うので、強くなった姿を見せられるように頑張りたい。
岩永:2ゲーム目が少しずつ相手のペースで決められるっていうパターンが多かったが、これまでは1ゲーム目2ゲーム目もそのような感じで負けていたが、今日の1ゲーム目はやり合えていて、少し成長できたのかなと思った。
ベスト4に入れたって思えば嬉しいが、今日はたくさんの応援してくださる皆さんの前で勝つ姿を見せられなかったのが悔しい。まだ自分たちの上は壁がすごい厚い、まだアタック力もレシーブも全然足りないと思うのでしっかり練習して頑張りたい。
©NipponBA2024 / PHOTO:t.KITAGAWA