男子シングルス展望

バドミントン界の帝王、
ビクター・アクセルセンに新鋭たちが挑む

ビクター・アクセルセン(デンマーク)
ビクター・アクセルセン(デンマーク)

いま、男子シングルスは、東京五輪の金メダリスト、ビクター・アクセルセン(デンマーク)を中心に動いている。

現在、五輪、世界選手権、ワールドツアーファイナルズと、バドミントン界のビッグタイトルをすべて保持する帝王は、5月にケガを負ったが、6月半ばのインドネシアオープンで復帰し圧勝。ケガの影響はなく、194センチからの猛攻を披露した。もっとも王座に近い位置におり、優勝すれば2017年以来、二度目の頂点になる。

日本の新エース・奈良岡功大の初優勝に期待

奈良岡功大(日本)
奈良岡功大(日本)

この29歳の帝王の独走を阻もうと、勢いのある2人の22歳がいる。まず、この1年で世界43位から3位へと、大きな飛躍を遂げた日本の奈良岡功大だ。

日本の新エースは、主要ツアーでの優勝がまだなく、記念すべきツアー初優勝を日本で果たしたいところ。素早いフットワークでシャトルに追いつき、タメのある球で相手を翻弄するのが強み。準決勝で4連敗中のビクター・アクセルセンに勝ち、優勝まで駆け抜けられるか注目だ。

アンダース・アントンセン(デンマーク)
アンダース・アントンセン(デンマーク)

ただ、今回は厳しい山に入り、2回戦で前回3位のアンダース・アントンセン(デンマーク)と当たりそう。この長身のアタッカーに勝ったとしても、準々決勝では、中国のエース、石宇奇(シー・ユーチ/中国)が待ち受ける。

世界選手権銀のクンラブット・ヴィチットサーンも頂点をうかがう

クンラブット・ヴィチットサーン(タイ)
クンラブット・ヴィチットサーン(タイ)

そして奈良岡と並んで元気がいいのが、もう一人の22歳、クンラブット・ヴィチットサーン(タイ)だ。2017年からの世界ジュニア選手権で3連覇し、ラケットを変幻自在に操るセンスはピカ一だ。シニアでの活躍は奈良岡より1年早く、昨年の世界選手権では、銀メダルを獲得した。

直近でビクター・アクセルセンと対戦したインドオープンでは、初勝利を収め、自信をつけているだろう。奈良岡との決勝戦が実現すれば、新しい時代の到来を感じさせる好カードになる。

ロー・ケンユー(シンガポール)
ロー・ケンユー(シンガポール)

ただ、このタイの新星が、準決勝で顔を合わせる可能性の高いのは、インドネシアのアンソニー・シニスカ・ギンティングか、2021年世界選手権優勝のロー・ケンユー(シンガポール)。いずれも初優勝をねらう実力者たちだ。また、同じ山にいるオールラウンダーのヨナタン・クリスティ(インドネシア)も優勝候補の一人だろう。

このほか、上位へ進出できる力を持つのは、30歳を越えてなお強さを増している、H. S. プラノイ(インド)周天成(チョウ・ティエンチェ/チャイニーズ・タイペイ)。H. S.プラノイが、1回戦で全英王者の李詩澧(リ・シフェン/中国)に勝てば、2回戦は見ごたえのあるベテラン同士の戦いになりそうだ。

西本拳太(日本)
西本拳太(日本)

もちろん前回、格上を連破して初優勝を飾った西本拳太(日本)にも期待。今回も1回戦から剛腕のリー・ジージア(マレーシア)と当たるが、昨年の劇的ドラマを再現してほしいところ。東京五輪代表の常山幹太(日本)は、まず1回戦でアンソニー・シニスカ・ギンティングを下すことが目標だ。

さらに2018、2019年優勝の桃田賢斗(日本)は、ここで上位に進み、再浮上のきっかけをつかみたい。リザーブから繰り上がりで出場権を得た渡邉航貴(日本)は、今大会に初出場で、格上に向かっていく姿を見せてくれるだろう。

『PHOTO:BADMINTON PHOTO

2022年大会(第39回)結果
優勝 西本拳太(日本)
準優勝 周天成(チョウ・ティエンチェ/チャイニーズ・タイペイ)
3位 石宇奇(シー・ユーチー/中国)
3位 アンダース・アントンセン(デンマーク)