女子ダブルス展望

日中韓が激突!
インドネシア&タイも絡む王座争奪戦

*世界ランキングは7月11日付

陳清晨(チェン・チンチェン)/賈一凡(ジァ・イーファン/中国)
陳清晨(チェン・チンチェン)/賈一凡(ジァ・イーファン/中国)

7月11日現在、世界ランキング8位以内は、日中韓の3カ国が占め、9位にタイペア、10位にインドネシアペアが続く。この5カ国による王座争奪戦が予想される。

実力は拮抗しているが、やや優位なのは中国のエース、陳清晨(チェン・チンチェン)/賈一凡(ジァ・イーファン)。昨年の世界王者は、陳清晨が司令塔になり、賈一凡の強打を導くのが必勝パターンだ。ひとたびトップ&バックを築けば、手を付けられない猛攻を繰り返す。意外にも日本での優勝はまだなく、初タイトルへの思いは深いだろう。

急成長している韓国勢に2連覇がかかる

イ・ソヒ/ペク・ハナ(韓国)
イ・ソヒ/ペク・ハナ(韓国)

そして、この1年で急成長を遂げたのが、トップ10に3ペアを送る韓国勢だ。とりわけ前回、同国決勝を演じた若い選手たちが変貌。パリ五輪に行けるのは、1カ国あたり最大2ペアのため、国内争いの熾烈さが彼女たちをいっそう強くしている。

3ペアのなかでもっとも調子がいいのは、昨秋から組み始めたイ・ソヒ/ペク・ハナか。前回準優勝のペク・ハナは、7歳年上で経験豊富なイ・ソヒとの相性がよく、瞬く間に世界ランキング2位まで駆け上がった。陳清晨/賈一凡との勝率は2勝2敗で、世界王者にとっていま一番当たりたくない相手だろう。

シン・スンチャン/イ・ユリム(韓国)
シン・スンチャン/イ・ユリム(韓国)

ただ、イ・ソヒ/ペク・ハナは初戦でいきなりチームメイトのシン・スンチャン/イ・ユリムと当たる。シン・スンチャン/イ・ユリムは、世界ランキング20位だが、リオ五輪の銅メダリストのシン・スンチャンは、イ・ソヒにとって元パートナー。イ・ユリムは、ペク・ハナとって前回準優勝した盟友だ。イ・ソヒ/ペク・ハナが、足をすくわれる可能性はゼロではない。

このほか、韓国には2019年の覇者で世界ランキング3位のキム・ソヨン/コン・ヒヨンがおり、強打で対戦相手を打ち崩していく。前回王者で世界ランキング8位のキム・ヘジョン/ジョン・ナユンは、準々決勝で当たるであろうキム・ソヨン/コン・ヒヨンをレシーブで攻略しにかかる。

日本は3ペアに優勝のチャンスあり

志田千陽/松山奈未(日本)
志田千陽/松山奈未(日本)

五輪レースが始まり、いっそう強さを増す中韓に対抗するのは、もちろん日本勢だ。トップ10にいる日本ペアは3組。いずれも優勝が目標だ。

3ペアの実力は高いレベルで伯仲している。7月半ばのカナダオープンでは、東京五輪後、頭角を現した志田千陽/松山奈未が優勝したが、準決勝で福島由紀/廣田彩花、決勝で松本麻佑/永原和可那と激闘を演じている。

3ペアのうち、初戦から難敵と当たるのは志田千陽/松山奈未。1回戦で東京五輪金のアプリヤニ・ラハユと若いシティ・ファディア・シルバ・ラマダンティ(インドネシア)と対戦する。速い球回しが得意な志田/松山が、高い技術を誇るインドネシアペアにどう挑むかに注目。無事、難所を通過すれば、世界王者の陳清晨/賈一凡との準々決勝。ここで勝って、ワールドツアー日本初優勝の期待がかかる。

松本麻佑/永原和可那(日本)
松本麻佑/永原和可那(日本)

また、ベテランの福島由紀/廣田彩花は、2021年の廣田の深刻なケガにより一時低迷したが、今年5月のスディルマン杯では、勝負所の中国戦で起用されるなど調子を上げている。準々決勝で、試合運びのうまいジョンコルファン・キティタラクル/ラウィンダ・プラジョンジャイ(タイ)に勝って波に乗れば、2018年以来、2度目の優勝が現実味を帯びてくる。

世界ランキング4位と日本最上位の松本麻佑/永原和可那は、勝ち進むほど韓国勢と顔を合わせそう。世界一の高さを持つ2人の角度あるアタックを武器に、初優勝を目指す。

なお、日本からはスイスオープン優勝の櫻本絢子/宮浦玲奈、2019年から世界を転戦する中西貴映/岩永鈴、21歳ペアの廣上瑠依/加藤佑奈、リザーブから繰り上がった保原彩夏/水津優衣が登場。いずれも格上を相手にアップセットを狙いに行く。

『PHOTO:BADMINTON PHOTO

2022年大会(第39回)結果
優勝 キム・ヘジョン/ジョン・ナユン(韓国)
準優勝 ペク・ハナ/イ・ユリム(韓国)
3位 陳清晨(チェン・チンチェン)/賈一凡(ジァ・イーファン)(中国)
3位 キム・ソヨン/コン・ヒヨン(韓国)