女子シングルス展望

山口茜が史上初の3連覇に挑む
最大のライバルは韓国のアン・セヨン

山口茜(日本)
山口茜(日本)

昨年9月から世界ランキング1位に君臨する日本の至宝・山口茜が第1シードに座っている。優勝筆頭であることはもちろん、優勝すれば女子シングルス史上初の3連覇の金字塔を打ち立てることになる。

同時に1989年に李玲蔚(リー・リンウェイ/中国)が樹立した女子シングルスの最多優勝記録(4回)に並ぶ。

偉業に挑戦する山口は「ファンの皆さまに楽しんでもらえるプレーができるように頑張りたい」と気負いなく話す。

日本開催のトーナメントに思い入れのある山口だけに、観客の声援をバックに特別な力を発揮してくれるだろう。156センチという小柄さを補う素早いフットワークや、対戦相手を翻弄する多彩なショットにも注目だ。

山口の最大のライバルはアン・セヨン

アン・セヨン(韓国)
アン・セヨン(韓国)

その山口がもっとも警戒しているのは、前回準優勝のアン・セヨン(韓国)だ。攻めも守りもレベルの高いオールラウンダーで、今季は山口を上回るワールドツアー5勝を挙げている。山口戦の勝率も3勝2敗とよく、上り調子しか知らない21歳だ。

順調に勝ち進めば、山口と顔を合わせるのは決勝戦。実現すれば、昨年を上回る極上の決戦になるだろう。

もちろん、今年のツアー優勝のほとんどを分け合う山口とアン・セヨンの行く手を阻もうと、実力者たちも頂点を狙っている。

陳雨菲(チェン・ユーフェイ/中国)
陳雨菲(チェン・ユーフェイ/中国)

山口が準決勝で対戦しそうなのは、中国勢。東京五輪金メダルの陳雨菲(チェン・ユーフェイ)が、準々決勝でチームメイトの左腕のテクニシャン・何冰嬌(ヘ・ビンジャオ)、もしくは23歳の伸び盛りの王祉怡(ワン・ツィーイ)のどちらかと当たる可能性が高い。

このうち誰が勝ち上がってきても、山口には手ごわい相手だ。とくに昨年の世界選手権の決勝で戦った陳雨菲(チェン・ユーフェイ)は、長いラリーを仕掛けてくるだろう。山口は、早めにラリーを切っていくことが、勝利のカギになりそうだ。

打倒アン・セヨンに燃えるベテランたち

ラチャノック・インタノン(タイ)
ラチャノック・インタノン(タイ)

一方、山口と反対側の山で、打倒、アン・セヨンに燃えているのはベテランたちだ。準々決勝では、タイの28歳、ラチャノック・インタノンが、鋭いクロスカットを武器に攻略しにかかる。

さらにアン・セヨンは、準決勝では、百戦錬磨の東京五輪のメダリストが待っていそうだ。銀メダルの戴資穎(タイ・ツーイン/チャイニーズ・タイペイ)と銅メダルのプサルラ・V. シンドゥ (インド)は2回戦で顔を合わせ、勝者が準決勝へ進むことが予想される。

戴資穎(タイ・ツーイン/チャイニーズ・タイペイ)
戴資穎(タイ・ツーイン/チャイニーズ・タイペイ)

2人のうち、やや優勢なのは、世界随一の技術を誇る戴資穎(タイ・ツーイン)か。ただ、ケガから復帰して間もないプサルラ・V.シンドゥは、6月のシンガポールオープンで山口にファイナルゲームに持ち込むなど、復調の兆しを見せている。179センチの長身から角度あるスマッシュをしっかり打てれば、波に乗ってくる。さらに2人のどちらかと準々決勝で当たるであろう中国の4番手、韓悦(ハン・ユエ)も侮れない相手だ。

大堀彩(日本)
大堀彩(日本)

なお、日本からは山口以外に4人が出場する。いずれも2回戦が大きな山場。リオ五輪の銅メダリスト、奥原希望は山口との日本対決を目指す。また26歳のサウスポー大堀彩はラチャノック・インタノン、急速に世界ランキングを上げている川上紗恵奈はアン・セヨン、仁平菜月は陳雨菲(チェン・ユーフェイ)に挑戦するか。挑戦者の強みを生かし、全力でぶつかっていきたい。

『PHOTO:BADMINTON PHOTO

2022年大会(第39回)結果
優勝 山口茜(日本)
準優勝 アン・セヨン(韓国)
3位 陳雨菲(チェン・ユーフェイ/中国)
3位 戴資穎(タイ・ツーイン/チャイニーズ・タイペイ)