混合ダブルス展望

世界王者・鄭思維(ジェン・シーウェイ)&黄雅瓊(ファン・ヤチョン)が本命
渡辺&東野、前回 V のタイペアは牙城を崩せるか

鄭思維(ジェン・シーウェイ)/黄雅瓊(ファン・ヤチョン)(中国)
鄭思維(ジェン・シーウェイ)/黄雅瓊(ファン・ヤチョン)(中国)

男子の豪快なアタックと、豪打に屈しない女子の勇気あるネットプレーが醍醐味の混合ダブルス。今年、優勝筆頭候補と見られているのは、世界王者の鄭思維(ジェン・シーウェイ)/黄雅瓊(ファン・ヤチョン)(中国)だ。
この大本命を日本のエース、渡辺勇大/東野有紗、前回王者のプアヴァラヌクロー/タエラッタナチャイ(タイ)、さらに昨秋から組み始めた東京五輪金の黄東萍(ファン・ドンピン)と22歳の馮彦哲(フェン・ヤンジー)がどう攻略するかが、最大の見どころだ。

東京銅の渡辺&東野は
準優勝からのステップアップが目標

渡辺勇大/東野有紗(日本)
渡辺勇大/東野有紗(日本)

2018年以来、2度目の優勝を狙う鄭思維(ジェン・シーウェイ)/黄雅瓊(ファン・ヤチョン)は、21年東京五輪で優勝候補といわれながら、銀メダルに留まった。この1年、2人は悔しさを晴らすべく、世界選手権、ワールドツアーファイナルズ、全英オープンと、ビッグタイトルを総なめにしてきた。この代々木でも畳みかける怒涛の連続攻撃を見せてくれるはずだ。

この世界王者に勝とうと、誰よりも燃えているのが、東京五輪銅の渡辺/東野だ。昨年の世界選手権決勝で鄭思維(ジェン・シーウェイ)/黄雅瓊(ファン・ヤチョン)に完敗したものの、翌週の今大会準決勝ではスピード戦に徹し、リベンジに成功した。自分たちの強さを発揮できれば、悲願の初優勝は夢ではない。

プアヴァラヌクロー/タエラッタナチャイ(タイ)
プアヴァラヌクロー/タエラッタナチャイ(タイ)

渡辺は「日本の皆さんに背中を押してもらいながら、はりきって頑張っていきたい」と気合十分だ。

一方、プアヴァラヌクロー/タエラッタナチャイは、昨年決勝で渡辺/東野をスピードで上回り初Vを飾った。今季は、5月のマレーシアマスターズで勝ったほか、コンスタントに上位をマーク。ふたたび頂点まで駆け抜ける準備はできている。

なお、このトップ3がもっとも警戒しているのが馮彦哲(フェン・ヤンジー)/黄東萍(ファン・ドンピン)だ。組み始めてわずか半年足らずでトップ10入りした攻撃型で、破竹の勢いだ。黄東萍は本大会2度の優勝を誇るが、ペアとしてはSuper750以上の大会での優勝がなく、本大会にかける思いが強いだろう。

馮彦哲(フェン・ヤンジー)/黄東萍(ファン・ドンピン)(中国)
馮彦哲(フェン・ヤンジー)/黄東萍(ファン・ドンピン)(中国)

このほか、上位へコマを進めそうなのが、しぶとさに定評のあるソ・スンジェ/チェ・ユジュンキム・ワンホ/ジョン・ナユンの韓国勢。世界ランクこそ20番台だが、試合巧者の東京五輪4位の鄧俊文(タン・チュンマン)/謝影雪(ツェ・インスェット)(ホンコン・チャイナ)も手ごわそう。フランスのギックル/デルリュは、地元パリでの五輪を来年に控え、つなぎ球に磨きをかけており、欧州ナンバーワンの意地も見せてくれるはずだ。

また日本からは、5月のスディルマン杯で、プアヴァラヌクロー/タエラッタナチャイ馮彦哲/黄東萍にファイナルゲームで勝った山下恭平/篠谷菜留(日本)の飛躍にも期待したい。多くの人の感動を誘った粘り強いレシーブには一見の価値がある。

このほか、松友美佐紀/金子祐樹(日本)緑川大輝/齋藤夏(日本)も出場。クレバーに戦う2ペアは、熱い声援をバックに上位進出をうかがう。

『PHOTO:BADMINTON PHOTO

2022年大会(第39回)結果
優勝 プアヴァラヌクロー/タエラッタナチャイ(タイ)
準優勝 渡辺勇大/東野有紗(日本)
3位 鄭思維(ジェン・シーウェイ)/黄雅瓊(ファン・ヤチョン/中国)
3位 王懿律(ワン・イーリュ)/黄東萍(ファン・ドンピン/中国)