試合レポート 大会3日目

7/27(木)各種目2回戦

男子シングルス

奈良岡功大(FWDグループホールディングスリミテッド) 18-18途中棄権 アンダース・アントンセン(デンマーク)

奈良岡功大(日本)
奈良岡功大(日本)

1ゲーム目、長身のアントンセンの高低に打ち分けられたクリアとロブショットに奈良岡は我慢を強いられる展開になる。奈良岡はカットを織り交ぜながら要所で強打をするが、アントンセンの安定したレシーブの前にリードを奪われる。3-6と奈良岡が劣勢の場面、アントンセンはさらにギアを上げて攻撃を仕掛けるのに対して、奈良岡は粘りのレシーブでラリーをものにする。これで流れを引き寄せた奈良岡は連続ポイントを奪い、いったんは7-6と逆転に成功する。しかしここからお互いに一進一退の攻防を繰り広げる。アントンセンの長身を生かした攻撃に対し、奈良岡は緩急を生かしたショットで見ごたえのあるストローク戦を繰り広げる。18-18の同点の場面で、連続する大会による疲労のためか、アントンセンがまさかの棄権となり、奈良岡のベスト8進出が決定した。

アンダース・アントンセン(デンマーク)
アンダース・アントンセン(デンマーク)

試合後、「カナダオープン、韓国オープンに続いて行われた今大会は疲労が残っていたが、我慢することを意識してラリーをした。それが離された場面でも追いつくことにつながった」と奈良岡が語った。今後のオリンピックレースについて問われると、「オリンピックレースのことはあまり考えていない。それよりも一つ一つの試合に全力で向かっていきたい」と述べていた。連続する国際大会の中で大きな故障なく、コンスタントに勝ちを重ねることが今後のカギとなってきそうだ。

女子シングルス

山口茜(再春館製薬所) 2(21-15、21-16)0 キム・ガウン(韓国)

山口茜(日本)
山口茜(日本)

2022年9月から世界ランキング1位の座を守り続け、本大会3連覇を狙う山口は、韓国のキム・ガウンとの2回戦に臨んだ。先週の金曜日に韓国オープン準々決勝で対戦した2人が、この舞台で再戦となった。

「身体はよく動けていた」という山口は、スタートダッシュを決めてコート内で躍動し、8-2とする。ここから、キム・ガウンのアタックロブに対する好反応を次々に見せ、球を沈められ、9-10と逆転されてしまう。それでも、「前回の対戦で、低い展開では相手がやりやすそうだという感じがあったので、厳しい時には大きな展開を意識しながら戦った」という山口は、丁寧に押し返すラリーで徐々に主導権を引き戻し再逆転すると、終盤にはしっかりとチャンス球をプッシュで決め切ってプレッシャーを与えると、最後はキムのロブショットがアウトとなって21-15。山口が第1ゲーム奪取する。

山口茜(日本)
山口茜(日本)

第2ゲームも山口は脚と止めることなく、ラリーを苦にせず巧みな球回しで優勢を保つ。キムもラウンドからのストレートスマッシュを有効打に、随所に光る攻撃を見せるが、このゲームは山口の魅せるプレー、スーパープレーが何度も炸裂し流れを渡さない。観客のボルテージも上がっていく中、終盤の山口の得点はどれも見事だった。苦しい体勢から球足の短いドロップで19点目、ネット前を制してプッシュを沈めて20点目をあげる。最後はフォアのストレートスマッシュをサイドラインに突き刺した。一度はアウトの判定だったものの、確信して要求したチャレンジの成功により、精度の高いショットを証明した山口が21-16で順調な勝ち上がりを見せた。

同じくこの種目の2回戦を戦った大堀彩(トナミ運輸)は、世界ランキング2位のアン・セヨン(韓国)を相手に苦しい試合となった。アン・セヨンは力感なく無駄のない動きで、早いタッチから次々に精度高いショットを繰り出す。上からのショットを打ち分けてペースをつかみたい大堀であったが、相手の巧みな球回しに遅れをとってしまい、差し込まれる展開が続く。12-21、13-21と、実力差を見せつけられた敗戦となった。

男子ダブルス

古賀輝/齋藤太一(NTT東日本) 2(21-16、23-21)0 リャン・ウェイケン/ワン・チャン(中国)

古賀輝/齋藤太一(日本)
古賀輝/齋藤太一(日本)

世界ランキング20位の古賀/齋藤はランキング的に格上といえる同3位、中国のリャン・ウェイケン/ワン・チャンと対戦した。今回初対戦となるが、オリンピックレースが本格化するため、今大会での勝ち上がりは重要になるだろう。

第1ゲーム、中国ペアの素早いローテーションから繰り出す攻撃に対して、古賀/齋藤がレシーブを左右に打ち分けて相手のミスを誘い、点数を重ねていく。中国ペアは流れを変えようと低空戦を仕掛けてくるが、集中力を切らさずに中国ペアのコンビネーションの間を突いたドライブで古賀/齋藤が着実にリードを広げていく。要所を抑えたゲームメイクで古賀/齋藤が21-16で先取した。

古賀輝/齋藤太一(日本)
古賀輝/齋藤太一(日本)

第2ゲームに入ると、古賀/齋藤の相手を揺さぶるレシーブとドライブに対応し始めた中国ペアは丁寧で我慢強いラリーで対抗する。中国ペア優勢かと思われたが、古賀/齋藤が攻撃の機会を増やし、前衛での素早い攻防を制して決めて流れを握る。その後もサービスリターンに素早く反応して、上からのタッチで攻撃の手を緩めない古賀/齋藤は20-17でマッチポイントを握る。ここで試合を決めたい古賀/齋藤は畳みかけるような攻撃を見せるが、中国ペアの粘りのプレーを前に4連続ポイントを奪われる。最後はサービス周りのミスを誘った古賀/齋藤が23-21で逃げ切り、うれしい3回戦進出を果たした。

試合後、「世界3位やそういった強豪選手にもやりあえることができたのは自信につながる」と話した古賀には、確かな手ごたえと自信が感じられた。明日は世界ランキング7位のリュウ・ユチェン/オウ・シュアンイと対戦する。対戦成績は1勝2敗ながら6月のインドネシアオープンでファイナルゲームの接戦で勝っているだけに期待が高まる。

女子ダブルス

福島由紀/廣田彩花(丸杉) 2(23-21、21-16)0 櫻本絢子/宮浦玲奈(ヨネックス)

福島由紀/廣田彩花(日本)
福島由紀/廣田彩花(日本)

2回戦唯一の日本人対決となったこの試合、今月初めに行われたカナダオープンでも同じ顔合わせで、福島/廣田がファイナルゲームの末に勝利している。

第1ゲーム、序盤から激しい攻防で互角の展開が続く。福島/廣田は鋭いリターンをコースに的確に打ち分けて攻撃に持ち込んでは、トップアンドバックの陣形から確実に連打で決めていく。一方の櫻本/宮浦は、櫻本の上からのショットを起点に粘り強く押し込んでいき、息詰まるラリーが続く。17-17の時に激しいロングラリーを制した櫻本/宮浦にそのまま押し切るかと思われたが、百戦錬磨の福島/廣田が、接戦でも配球は冷静に、そして強打は痛烈に決める強さを見せて23-21でこのゲームを先取した。

第2ゲームは開始早々に、2度の4連続得点を奪った福島/廣田が11-3と優位に進めていく。厳しい状態からもうまくローテーションをして、櫻本の強打を軸に攻撃を整えて盛り返し、櫻本/宮浦に怒涛の6連続得点を奪われ17-16と1点差まで詰め寄られる。それでも「自分の球が狙われている中で焦って球が悪くなってしまったが、最後はしっかり修正できた」という廣田が、繋ぎ球、決め球ともに質を上げると、最後は福島が決め切って21-16。福島/廣田が再び勝利を掴んだ。

櫻本絢子/宮浦玲奈(日本)
櫻本絢子/宮浦玲奈(日本)

試合後、「相手の攻撃パターン(櫻本の強打、宮浦の素早い動きを活かした連続攻撃)をしっかり作られると我慢の展開になることがわかっていたので、しっかりレシーブで押し返して粘っていこうと思ってプレーしたので、1ゲーム目を取り切って勝てたのはよかった。」と福島も語っており、納得の内容での勝利であったことがうかがえる。明日の準々決勝でもフクヒロらしい猛攻・堅守を楽しみにしたい。

この種目、ほかの日本人選手は、松本麻佑/永原和可那(北都銀行)がチャイニーズタイペイペアを相手に21-6、21-15と、連日の快勝劇で危なげなく勝ち上がった。松山奈未/志田千陽(再春館製薬所)は攻守に手堅いインドペアとのタフな試合となったが、最終盤に集中力を見せ、23-21、21-19と勝ち切って準々決勝進出を決めている。

廣上瑠依/加藤佑奈(日本)
廣上瑠依/加藤佑奈(日本)

一方で若手ペアの廣上瑠依/加藤佑奈(再春館製薬所)は、世界ランキング9位のタイペアに挑戦したが、実力を出し切れずに悔しい敗戦となった。1ゲームは硬さが出てしまい、上手く試合を作ることが出来ずに13-21。2ゲーム目は思い切りのいいプレーと的確な攻めを発揮して中盤からはリードを奪ったものの、「このゲームを何としても取らなくてはという気持ちが強すぎて空回りしてしまった(加藤)」というとおり、終盤にミスが続いてしまい19-21での惜敗であった。この経験と課題を糧に、今後の飛躍を期待したい。

混合ダブルス

渡辺勇大/東野有紗(BIPROGY) 2(19-21、21-12、21-11)1 タン・チュンマン/ツェ・インスェット(ホンコン・チャイナ)

渡辺勇大/東野有紗(日本)
渡辺勇大/東野有紗(日本)

昨年、あと一歩優勝に届かず、悲願のジャパンオープン制覇が期待される渡辺勇大/東野有紗が、ホンコン・チャイナの左利き同士のペア、タン・チュンマン/ツェ・インスェットと対戦した。

過去12勝1敗と渡辺/東野が大きく勝ち越しているものの、そのうち7戦がファイナルゲームであり、白熱した試合となることが予想された。

第1ゲーム、中盤から攻撃の意識を強めたホンコン・チャイナペアが見事な連続攻撃を見せる。タンが徹底的にスマッシュを放ち、早いリターンにもツェ・インスェットがよく反応して叩き込み、6連続得点を奪って13-9とリードする。その後、早い展開に対応していった渡辺/東野も一気に追い上げて19-19で並ぶが、タン・チュンマンがサービスプッシュを沈めてゲームポイントを掴むと、最後は渡辺のヘアピンがネットを越えず、チャイニーズ・タイペイペアが21-19と先取する。

タン・チュンマン/ツェ・インスェット(ホンコン・チャイナ)
タン・チュンマン/ツェ・インスェット(ホンコン・チャイナ)

第2ゲームに入ると、「自分のミスが勝敗を分けてしまうので、しっかり集中して打っていこうと切り替えた」という渡辺が見事なギアチェンジを見せる。前ゲームではミドルコートから繋ぎ球を多用していたが、素早く球の下に入り、積極的に強打を放つ展開で攻め立てていく。相手に反撃の隙を与えず、9-1と大量リードを奪うと、その後も手を緩めることなく進め、渡辺/東野が21-12で奪い返した。

ファイナルゲームも手を緩めない渡辺/東野のペースで試合を進む。チャイニーズ・タイペイペアは、頼みのタン・チュンマンが要所で精彩を欠く苦しい展開となる。それを尻目に渡辺/東野は、前ゲームから続く渡辺のハイスピードプレーに加え、東野のスマッシュも得点に結びつく場面が増えて、主導権を確固たるものにする。全く危なげのない攻めのゲーム進行で、最後は渡辺の鋭いドライブが相手を抜き去ってコートに落ち、21-11で準々決勝進出を決めた。

©NipponBA2023 / PHOTO:t.KITAGAWA