試合レポート 大会5日目

7/19(土)各種目準決勝

男子シングルス

渡邉 航貴(BIPROGY/世界ランキング21位)が昨年チャンピオンのアレックス・ラニアー(フランス/世界ランキング8位)と対戦。
ここまで世界ランキング6位のチョウ・ティエンチェ(チャイニーズ・タイペイ)、同13位のウェン・ホンヤン(中国)の格上を破っており、そのきっかけとして、「元日本代表の桃田 賢斗選手(NTT東日本)から『チャレンジ精神でやった方がいい』と言われたことでプライドを捨てて泥臭く向かっていくことにした」と話していただけに、この準決勝でも期待が高まった。ともにスピードを武器としている二人らしく息を飲む高速ラリーが展開されていく。ラリーでチャンスを作って強打を叩き込むが、167㎝の渡邉に対して、180㎝のアレックス・ラニアーから放たれるパワースマッシュに分がある。これまで我慢のプレーで勝ち上がってきた渡邉だったが、「我慢が足りなかった!メンタルで負けてしまった」と苦しいところでスピードを上げきれず、要所でアレックス・ラニアーにストレートスマッシュを連続2本決められるなどして、19本で奪われてしまう。「ヨーロッパの選手はスピードかパワーのどちらかが多いが、両方持っている。それに加えてメンタルの強さがある。」と渡邉が評したように、手を緩めるどころかどんどん強気にボルテージを上げていったアレックス・ラニアーが第2ゲームを15本で渡邉を抑えた。渡邉は、「優勝したかったが、メンタル的にも我慢できたのでいい手ごたえ、ここまでこられたことはよかった。8月の世界選手権をメインに考えており、(今日の試合で)力不足を感じたが、課題も見えてきた。来週からの中国オープンに向けて調整していきたい。」と前を向いた。

女子シングルス

5度目の優勝を目指す山口 茜(再春館製薬所/世界ランキング3位)とワールドツアーファイナルズ2024優勝など中国のエースとして成長しつつあるワン・ツィーイ(中国/世界ランキング2位)が対戦した。
あまり攻撃をせず、ラリースタイルのイメージというワン・ツィーイに、「ある程度テンポの早いラリーの中で回される感じだったので、割り切ってゆっくりやるなり、1ゲームで出し切るくらいでやればよかったが、同じテンポで追い上げることができたので、そのままズルズルいってしまった。」と主導権を握られ、山口が常に追いかける展開で15-21となる。第2ゲームも同じような展開で5-9とリードされるも、スピードを上げて、連続4ポイントを挙げるなどして追いつき、17-15逆転する。しかし、ここから山口は追い詰めた甘いリターンのスマッシュ、クリアなどのミスで連続5ポイントを失い、逆にマッチポイントを握られてしまう。最後はワン・ツィーイにスマッシュを決められ、16-21でゲーム。「これだけの声援の中で試合ができることは幸せ。2ゲーム目、チャンスがあっただけに、声援に応えられなかったのは悔しい。」と山口は振り返った。

世界ランキング4位の中国のハン・ユエをストレートで下し勢いに乗る郡司 莉子(再春館製薬所/世界ランキング32位)が名実ともに世界トップのアン・セヨン(韓国/世界ランキング1位)に挑んだ。
「昨日と同じく、トップスピードで行きたかったが、スピードを出させてもらえなかった。」とスピードだけでなく、一球一球の質の高さ、フィジカルの強さ、それらを活かした巧みなゲームメイクをアン・セヨンが魅せる。序盤こそ郡司が喰らいつくも、アン・セヨンが連続ポイントで抜け出して冷静に得点を重ねていく。女王としての貫禄を見せたアン・セヨンが12本、10本で完勝した。
試合後、郡司は、「ワールドツアーのスーパー750でベスト4は初めて。入場も(ひと味)違って楽しく、上位の試合の緊張感や雰囲気の違いがあった。チャンスをものにしてこの舞台に立てたことは成長だと思う。これで終わらないようにしたい。(世界トップのアン・セヨン選手と対戦して)このラリーをベースとしてこのペース、球についていけるように体力、クリアやロブなどの基礎を高めていきたい。」と語った。この経験を活かしたさらなる成長に期待したい。

女子ダブルス

志田 千陽/松山 奈未(再春館製薬所/世界ランキング2位)がタン・パーリー/ティナー・ムラリザラン(マレーシア/世界ランキング3位)と対戦した。
「相手のパフォーマンスがよかった。昨日の長い試合で力が入っている感じはなかったが、球が単調になっていたのか自分たちのプレーが出せなかった(志田)」「相手のタッチが今までにないぐらい早かった(松山)」と序盤の連続8ポイントでマレーシアペアに主導権を握られてしまう。防戦の展開を我慢してレシーブするも、攻撃の手を緩めないマレーシアペアに撃ち抜かれてしまう。2ゲーム目に入ってもマレーシアペアの勢いは衰えず、特にティナー・ムラリザランのスマッシュの威力が増していく。終わってみれば、13本、11本と志田/松山にとっては悔しい敗退となった。
試合後、「(今大会を通じて)シダマツタオルや声援に感謝している。シダマツの集大成としてこれまでの経験を活かしてパワーアップした姿を見せることができた。」と志田が話せば、「(ダイハツジャパンオープンは)幸せな空間だった。今日は自分たちらしさを全く出せず完敗だったが、世界選手権を前に課題をもらえたので、前向きにとらえて取り組んでいきたい。」と松山。ペア解消まであと2大会となったが、さらに成長して、有終の美を飾ってもらいたい。

決勝のカード(試合順)

[混合ダブルス]
デチャポン・プアヴァラヌクロー/スピッサラ・パエサンプラン(タイ)-ジャン・ジェンバン/ウェイ・ヤーシン(中国)

[女子シングルス]
アン・セヨン(韓国)-ワン・ツィーイ(中国)

[女子ダブルス]
リウ・シェンシュー/タンニン(中国)-タン・パーリー/ティナー・ムラリザラン(マレーシア)

[男子ダブルス]
ゴー・ジーフェイ/ヌー・イズディン(マレーシア)-キム・ウンホ/ソ・スンジェ(韓国)

[男子シングルス]
アレックス・ラニアー(フランス)-シー・ユー・チー(中国)