7/20(日)各種目決勝戦
男子シングルス
パリ五輪金メダリストのシー・ユー・チー(中国/世界ランキング3位)と、ディフェンディングチャンピオンのアレックス・ラニアー(フランス/世界ランキング8位)が対戦。昨年の準決勝と同じ顔合わせで、そのときはアレックス・ラニアーに軍配、シー・ユー・チーにとってはリベンジ燃える負けられない一戦となった。
第1ゲームからお互いのウイニングショットを拾い合う総力戦となる。「苦しい展開になることを予想していた。負けてもいいから自分のスタイルを貫いた」というシー・ユー・チーに対して、「パフォーマンスとしては中ぐらいだった」というアレックス・ラニアー。じわりじわりとシー・ユー・チーが流れを引き寄せていく。終盤に相手のミスを見逃さなかったシー・ユー・チーが21-17で奪う。
その流れのままにシー・ユー・チーが第2ゲームの主導権を握って、得点を重ねて21-15としてダイハツジャパンオープン初優勝を決めた。
試合後、アレックス・ラニアーは、「今日の試合は満足していないが、これが精一杯だったと思う。少しだけ安定感が増して全体的により高いレベルで戦えている。」とまだまだ伸び盛りの20歳の成長が楽しみである。
女子シングルス
パリ五輪金メダリストとして圧倒的強さのアン・セヨン(韓国/世界ランキング1位)が、ワールドツアーファイナルズ2024優勝など中国のエースとして成長しつつあるワン・ツィーイ(中国/世界ランキング2位)と対戦した。ワールドツアーファイナルズでワン・ツィーイが勝って以降は、アン・セヨンが4連勝している。
第1ゲームは、お互いに点を取り合い10-10から、ゲーム後半に驚異的な強さを誇るアン・セヨンが連続8ポイントを重ねるなどして21-12で奪う。
第2ゲームに入ってもアン・セヨンのペースで進む。「相手の状態が良かった。スピードも早くミスも少なかったから、今日のプレーは簡単にポイントをもらえなかった。自分の集中力がなかった。」というワン・ツィーイに対して、ますます集中力を高め、「終盤はミスも修正できて、練習してきた通りのプレーができた」と21-10で優勝を決めた。
試合後、「(2023年に続き)日本で2回目の優勝ができてうれしい。努力をしてきた結果だと思う。これからたゆまない努力をしていきたい」語ったアン・セヨン。貪欲に強さを追い求める23歳の絶対女王は。進化を止めることなく突き進む。
男子ダブルス
今年のペア結成後、破竹の活躍を見せてワールドツアーの決勝戦常連となったキム・ウンホ/ソ・スンジェ(韓国/世界ランキング3位)と、大会連覇を狙うゴー・ジーフェイ/ヌー・イズディン(マレーシア/世界ランキング1位)による熱いマッチアップとなった決勝戦、これまでは1勝1敗のため、予測のできないハイレベルな戦いが予想された。
男子ダブルスらしい低いスピード感のある展開、強烈なスマッシュに、会場につめかけた4,000人超の観客が息を飲んだ。ともに混合ダブルスの確かな実績を持つキム・ウンホ/ソ・スンジェは、優れたコードカバー力を生かしたプレーに加えて、「前衛が自信をもってプレーできるように意識している」という後衛からのショットコースも冴えを見せ、次々に有効な攻撃を仕掛けていく。「ベストを尽くしたが、相手のパフォーマンスがよかった。特にスピードが速かった。」と振り返ったマレーシアペアは16本、17本で敗退となった。
男子ダブルス韓国勢としては、10年ぶり(2015年のユー・ヨンソン/イ・ヨンデ以来)の優勝となり、「優勝できてうれしい。10年ぶりとあってうれしさも倍増!」と、素直にその喜びを語った。
ゴー・ジーフェイ(右)/ヌー・イズディン(マレーシア)
ゴー・ジーフェイ(右)/ヌー・イズディン(マレーシア)
キム・ウンホ/ソ・スンジェ
キム・ウンホ(左)/ソ・スンジェ、ゴー・ジーフェイ(右)/ヌー・イズディン
女子ダブルス
2連覇を目指すリウ・シェンシュー/タン・ニン(中国/世界ランキング1位)とタン・パーリー/ティナー・ムラリザラン(マレーシア/世界ランキング3位)が優勝の座をかけて争った。
中国ペアは圧倒的な攻撃力に加えて、ディフェンス力に磨きがかかってきている。一方で、マレーシアペアは圧倒的なアタック力で志田 千陽/松山 奈未(再春館製薬所)を下しており、楽しみな注目の一戦となった。
結果としては、リウ/タンがサービス周りから徹底して攻撃の形を作り、マレーシアペアの攻撃を封じて21-15、21-14で2連覇を達成した。マレーシアペアは、「理想のプレーができず、残念だった。大会全体では、決勝まで勝ち上がることができてよかったし、お互いに支え合いながらできたことが励みになった。世界ランキング2位ではあるが、ランキングは数字であり、大事なのは、安定したパフォーマンスを発揮することで、それができるように取り組んでいる。」と語った。
リウ・シェンシュー(奥)/タン・ニン(中国)
タン・パーリー(右)/ティナー・ムラリザラン(マレーシア)
リウ・シェンシュー(左上)/タン・ニン、タン・パーリー(左下)/ティナー・ムラリザラン
リウ・シェンシュー(左上)/タン・ニン、タン・パーリー(左下)/ティナー・ムラリザラン
混合ダブルス
昨年覇者のジャン・ジェンバン/ウェイ・ヤーシン(中国/世界ランキング2位)とデチャポン・プアヴァラヌクロー/スピッサラ・パエサンプラン(タイ/世界ランキング5位)が決勝のオープニングゲームに登場。デチャポンは元世界ランキング1位で昨秋からスピッサラとのペアを結成し、すでに5大会優勝と勢いに乗っている。
第1ゲームは、中国ペアが怒涛のアタックを武器に試合を有利に進めるも、終盤のイージーミスをきっかけにタイペアが20-19と気迫の追い上げを見せる。しかし、重要な局面でデチャポンのスマッシュがネットにかかり、中国ペアが先取する。 第2ゲームは攻撃のリズムを掴み始めたタイペアが速いタッチで攻撃の形を作って、中国ペアに攻撃の機会を与えず21-16で奪いかえす。
迎えたファイナルゲーム、ウェイ・ヤーシンがネット前での差し合いを制して上げさせるとジャン・ジェンバンが強烈なスマッシュを叩き込んでいく。「相手がいいパフォーマンスだった。しっかり分析していた」とデチャポン、思うようなプレーができず攻め急いでかミスが目立つ。「(昨年優勝してはいるが、)会場も違うので、新しいチャレンジとして臨んだ」という中国ペアが一度もリードを与えず、21-15で2連覇を達成した。
試合後、ウェイ・ヤーシンは「勝ててうれしい。高いレベルの試合をすることができて楽しかった。(まもなく見えてきた)世界ランキング1位を目指すのではなく、今の自分たちを超えていく、レベルアップしていきたい。」と語り、充実感と飽くなき向上心を示した。